「海外投資のカリスマ」として知られるグローバルリンクアドバイザーズ代表・戸松信博氏によると、米国の利上げを受けて「2016年前半には1ドル=130円台まで円安が進むことが予想され、それが輸出企業の多い日本株を押し上げる要因となる」という。それでは、株価上昇が期待できる銘柄はどこにあるのか。戸松氏が2016年に要注目の個別株ベスト3をピックアップする。
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投資で利益を出すために注目したいのは、やはりROE(株主資本利益率)などのファンダメンタルズがよくて、業績がしっかり伸びる個別企業である。そこで今期の予想ROEが高く、好業績が期待できる銘柄をスクリーニングし、事業内容などを精査。2016年に輝く「期待の星」となるような銘柄を厳選した。
まず1位に選んだのが、インターネット上で写真やイラストといった素材を仕入れ、ネット販売するという独自のビジネスを展開するピクスタ(東証マザーズ・3416)である。
最大の魅力は、今期(2015年12月期)予想ROEが非常に高いうえに、利益成長の見通しも高い点だ。今期の予想純利益伸び率は11.8%とそれほど高いようには見えないが、これは2015年9月に新規上場した際の費用がかさんだためであり、来期(2016年12月期)は倍近い大幅増益が見込まれる。
デジタル一眼レフの出荷台数が右肩上がりで伸びるなど撮影機材の急速な普及によって誰でもクリエイターになれる時代となる一方、インターネットメディアの台頭やアナログ媒体のデジタル化によって、デジタル素材のニーズは飛躍的に増加している。そうしたなか、同社には1日1万点以上の素材投稿があり、1300万点以上の素材を揃えるという圧倒的な強みがある。
特にインターネット広告のうち動画広告の制作費は2014年がほぼ倍増、2015年も6割増と急拡大しており、動画マーケットにいち早く参入している同社が旺盛な需要を背景にロケット成長する期待は高まる。
2位には、決済業界のリーディングカンパニーであるGMOペイメントゲートウェイ(東証1部・3769)を挙げたい。
デンマークが2016年に世界で初めてキャッシュレス化に踏み切り、おそらく次の10年では世界標準になるだろう。加えて米国ではカード決済に関する法改正でカード被害が商店主の責任となるため、偽造しにくいICカードの普及を急ぐなど、世界的なキャッシュレス化の流れが進んでいる。今後その波が日本にも押し寄せるのは間違いなく、すでに民間はもちろん、日本年金機構や東京都をはじめ全国の公的機関の決済サービスを担う同社の成長余地は大きいと見る。
また国内のインバウンド需要に対する他通貨決済サービスや拡大するアジア市場へのサービスなど、着々と事業拡大の手を打っており、中長期的に業績を堅調に伸ばしていける数少ない有望企業といえる。有利子負債がゼロで財務内容も強固であるため、息の長い成長が見込めるだろう。
3位は富士山マガジンサービス(東証マザーズ・3138)。同社は、個人や法人に雑誌の定期購読を提供するオンライン書店だ。国内雑誌販売市場は縮小傾向にあるが、市場規模は8500億円超と依然巨大であり、むしろインターネット経由の販売額は増加基調にある。
同社は圧倒的な品揃えで、送料無料や定期購読割引といった読者にメリットの大きいサービスを提供しており、登録ユーザー数は2015年6月末で200万人以上。拡大傾向にある電子雑誌も手がけているため、成長余地は大きい。今期(2015年12月期)の純利益予想1億8500万円に対し、第3四半期で1億7500万円を計上しているため、業績の上方修正や上ブレは必至だろう。
※マネーポスト2016年新春号