まさにその通りといえます。周到な準備があればこそ、チャンスも運もつかむことができるのです。
「チャンスの神様には前髪しかない」といわれます。神様が通り過ぎてからでは、その髪はつかめない。前々から準備して、こちらに向かって走ってきた時に飛びつかないと間に合わないのです。
実際に私が知っているお金持ちのなかにも、財産形成の過程できれいな右肩上がりのカーブを描いてきた人はほとんどいません。横ばいや停滞が続くなかでも準備をして待ち、あるチャンスをつかんでドカンと急増させる。それを繰り返し、階段状に資産を増やしていくケースが多いのです。
例えば2005年12月に、当時、新規上場したジェイコム株をみずほ証券の担当者が「61万円1株売り」と注文すべきところ、「1円61万株売り」と誤発注する事件がありました。この時の株価の異常な数値を見逃さず、巨万の富を築いた個人投資家B・N・F氏など、単に運がよかっただけではないはずです。彼が絶えず準備していたから、チャンスが来たことを理解し飛びつくことができたのです。
最近では、仮想通貨が何かと話題を振りまいていますが、これもいいか悪いかは別にして、ほんの3~4年前に投資して、現在のような状況になる前に売り抜いていれば資産をドカンと増やせるチャンスだったことはいうまでもありません。
振り返れば、バブルが勃興し崩壊するサイクルは10年に一度以上の頻度で起こっています。私の知るお金持ちの多くは「上げ」「下げ」の大きな波を常に見計ろうとしています。上がった時に買うのではなく、大きく下がって世の中から悲鳴が上がっているところで買う。そして、それが再び上がった時に売ることで資産を大幅に増やしてきました。そのために日頃から準備を怠らず、大きな波がくるのを待って、周囲のほとんどが売るような局面でもリスクをとって買い向かい、チャンスをつかんできました。