「人生100年時代」が迫っている。日本の100歳以上の人口は急速に増え、2017年には6万8000人になった。20年前の約7倍、人口比(人口10万人あたり約57人)は世界首位である。
「そうはいってもまだ人数は少ない」「寿命が延びるのはもっと若い世代の話だろう」、そう考えるのは間違いだ。
国連の推計では、現在68歳の日本人が100歳を迎える2050年には、100歳以上の人口が100万人を超えると予測されている。人生100年の“第一世代”は現在の50代、60代である。健康に日常生活を送ることができる年齢「健康寿命」も日本は世界一(男性約71歳、女性75.5歳)で、こちらも、ほぼ5年に1歳のペースで延びている。
「健康で長生き」は喜ばしいが、半面、不安も大きくなる。それだけ、老後の出費は多くかかるからだ。
60歳で定年を迎えた後、残る人生が80歳までか、100歳までかで、老後の生活費は単純計算で2倍違う。しかも、年を取るほど医療や介護の費用は増えていく。
経団連が発表した調査結果によると大卒の退職金の平均額は2374万円。これも20年かけて取り崩すか、40年もたせなければいけないかで見え方は全く変わってくる。
「生活費は年金と退職金でなんとかなる」と老後のプランを描いている人たちが安心できる時代ではなくなるのだ。
※週刊ポスト2018年5月4・11日号