年金と並んで定年後の資産のもうひとつの柱が退職金だ。一時金として受け取る場合に、忘れてはならない手続きがある。
「退職金は長年の勤務に報いる趣旨があるため、所得税負担の軽減措置(退職所得控除)が設けられています。控除を受けるために、退職前に会社に『退職所得の受給に関する申告書』を提出する。この手続きを怠っていると、退職金が一律20.42%の高い税率で源泉徴収されます」(社会保険労務士の稲毛由佳氏)
勤続年数35年、退職金2000万円のケースでシミュレーションすると、申告書を提出していれば所得税額は3万8000円のところ、提出していないと約400万円も課税される。
「申告書を提出し忘れた場合は確定申告をすれば正しい税率で再計算してくれますが、還付されるまでに時間がかかります」(同前)
申告書の提出期限は退職金の支払いを受ける前日だ。
※週刊ポスト2018年5月4・11日号