北朝鮮問題に関して日本のマスコミ報道を見ると、政治的な内容に集中しているが、朝鮮半島の緊張緩和は経済的にはどのような意味を持つのだろうか? 中国のマスコミ報道を見ると、そうした観点からの報じられたものが目立つ。以下、中国本土の論調をまとめてみよう。
3月25~28日にかけて朝鮮労働党の金正恩委員長が中国を非公式訪問した。北朝鮮は4月21日、核実験、大陸弾道ミサイルの発射実験を即日中止し、北部核実験場を廃棄、すべての力を社会主義経済建設の遂行に集中させると宣言した。4月27日、金委員長は韓国の文在寅大統領と会談を行った。朝鮮半島情勢は良い方向に発展しており、和平に向けた希望の光が見えてきた。
朝鮮半島全体の情勢が安定すれば、北朝鮮は改革開放を進めるだろう。だとすると、中国ではどこがその恩恵を最も多く受けることができるだろうか? それは、鴨緑江を挟んで北朝鮮と接する国境の町、遼寧省丹東市に違いないだろう。
丹東市は遼寧半島の南側、付け根あたりに位置している。中国と北朝鮮平城市を結ぶ鉄道が通っており、物流の拠点となっている。中朝貿易の7割弱がここ丹東市を経由している。
2011年には新しい鴨緑江大橋(道路・鉄道)の建設が始まった。2014年7月には完成予定であったものの、中朝関係が悪化、北朝鮮側の工事が滞っている。北朝鮮が経済再建を優先させるとすれば、真っ先に北朝鮮側の工事が再開されるはずだ。そうすれば、物流キャパシティは大幅に増加し、丹東市は大きな恩恵を受けることができる。