アジアの金融センターと言われ、世界中から富裕層が集まっているシンガポール。そこに住む超富裕層は、子供たちの誕生日になると盛大なパーティーを開くという。『シンガポールで見た日本の未来理想図』を上梓した、当地に住むファイナンシャル・プランナーの花輪陽子氏が、その実態をリポートする。
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金融資産1億ドル(約109億円)を超える「超富裕層世帯」の割合が多いシンガポールでは桁違いのお金持ちが生息しています。そんなシンガポールでは子供のバースデーパーティーを結婚式の2次会のように盛大に行うことが一般的。人気キャラクターなどをかたどった3Dケーキに何万円もかけることさえあります。しかも、パーティーは“インフレ”して、どんどんエスカレートしていくのです。
プレイグラウンド(遊具やおもちゃがたくさんある屋内型施設)を貸し切ってバースデーをするのはスタンダード。中にはユニバーサル・スタジオのレストランやクルーザーを貸し切ったり、お肉を焼くプロを雇ってバーベキューパーティーをしたりする家族も。30代になっても自分のバースデーパーティーに友達を呼んでもてなすという人もいるほどです。
私が行った中で一番セレブだったバースデーパーティーはインド人の超富裕層が開いたもので、豪邸にゲスト50人ほどを招いて、バーテンダー、バルーンアーティスト、似顔絵アーティスト、カメラマンなど数々のエンターテイナーを呼んだパーティーでした。その日のテーマは「プリンセス」。内装もそれに合わせてデコレーションしてあり、ケータリングも非常に美味しく、グッディバッグ(イベントなどに参加した人にお土産として渡すプレゼント)も豪華なものでした。幼稚園の子供のパーティーなのに、一体いくらかけたのか、と思うほどでした。
こうした富裕層はパーティーに招かれ慣れていて、日本人以上にきめ細かくパーティーをセッティングしています。よかったパーティーは噂で広まり、その親の評判や信用を高めることあります。反対に不備があると信用を下げることになるでしょう。パーティーの“格”がマウンティングにつながるのです。そのため、より労力がかかり、高額なパーティーが行われるようになっていると思います。