日本社会には、「得する世代」と「損する世代」に明暗が分かれる世代間の断層がいくつもある。そんな世代間格差は、住む場所にまで及んでいる。
かつて団塊世代(1947~50年生まれ)は、“夢のマイホーム”を持つまでの道のりを「住宅すごろく」として思い描いた。
すごろくは「都会の単身アパート」からスタートし、結婚後は「ファミリータイプの賃貸マンション」に居を移して、子供ができたら「分譲マンション」を購入。子供が育って手狭になれば、マンションを転売して「郊外に庭付き一戸建て」を購入して一丁あがり。
財団法人ハイライフ研究所の調査によると、若い頃に地方から東京に大量流入した団塊世代が30歳前後で結婚して、世帯を持ち始める1980年ごろになると、我孫子、柏、所沢、越谷など、東京30キロ圏域の新興住宅地で団塊人口が増加した。
40歳代になると団塊世代は八王子、川越、町田などに移動し、佐倉、東金、東松山、鴻巣など東京40キロ圏域でも団塊人口が急増した。
データが示すように、団塊の世代からシラケ世代、新人類世代にかけては「マイホーム神話」が有力で、誰がいちばん早く家を買うかをこぞって競い、郊外のニュータウンや新興住宅地に持ち家を買い求めた。