もう少し詳しく述べるならば、外国為替市場の参加者の多くは、自らの意思で取引を停止した。
もちろん、セプテンバー・イレブンはニューヨークで起きた事件だから、現実問題として米ドルの決済ができなくなり、その結果として、外国為替取引が出来なくなったので取引を停止した、と言うべきかもしれない。しかし、事件発生はニューヨーク時間の朝8時ころであり、米ドルの決済ができないことが判明したのは、事件が発生してから数時間経ってからである。
外国為替市場が取引を停止したのは事件発生の直後だったことを思い起こせば、外国為替市場の参加者が、自主的に(意思を持って)閉鎖状態にした、そう言っても良いと考える。
大きなテロ事件は、過去にロンドンやパリでも起こっている。「ロンドンの同時爆破テロ事件」は2005年7月7日のことだし、「パリ同時多発テロ事件」は2015年11月13日のことだ。
過去は、こういった大事件が起こるたびに、外国為替市場はそれなりにその大事件を咀嚼し、相応の反応を見せてきた。
ところが、最近の世情では、テロ事件は世界中の各地で頻発しており、地域紛争も頻発しているにもかかわらず、外国為替市場で相場を動かす材料になっていない。だから、5月14日にパレスチナ自治区ガザ地区で起きた事件も、たいして珍しいことではない、とマーケットは判断して、無反応だったのかもしれない。