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「最期は自宅で死にたい」の願い、医療・介護負担で家族がギブアップ

家族に負担がのしかかる(イメージ)

 入院から在宅へ――。これは超高齢化社会で社会保障費を抑制したい国の“鉄板方針”である。

“看取り”ともいわれる人生の最期についても、今年4月の診療報酬改定で在宅医療や介護施設における看取りが奨励された。内閣府の意識調査(2012年)でも、介護を受けたい場所を「自宅」と答えた人が34.9%に上ったが、金銭的負担は在宅が入院を上回る。

 がんで余命半年と診断された年金生活者の男性(75歳、要介護度5)が最後の30日をホスピス(緩和ケア病棟)で過ごす場合、入院費と医療費は合計約16万円だが、高額療養費制度を使うと自己負担は2万4600円。これに食費、雑費を加えた実費は約5万円になる。

 在宅看取りの場合、ターミナル(終末)ケア加算や看取り加算を合わせた週5回の訪問診療と訪問看護(30日間で480分以上利用の場合)の自己負担が約1万7000円。これに介護用ベッドなどのレンタル費用、介護サービス費用の負担額約3万6000円を足した5万3000円がさしあたっての自己負担だ。

「在宅医療はさらにプラスアルファの費用がかかり、患者の容態が急変することもあり得ます。たとえば自宅で家族が苦しんでいる患者のため痰の吸引を行なう場合に必要な器具は5万円ほど。ヘルパーの日当なども、介護保険の限度額を超えた分は自己負担になります。在宅は病院よりコスト負担が軽いように思われますが、実際の費用では数万円から場合によっては数十万円上回ります」(医療経済ジャーナリストの室井一辰氏)

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