草むしりだけで年6万円だ。その費用をケチるとすぐに“廃屋化”し、もっとカネがかかる。2015年に施行された「空き家対策法」では、市町村が適切に管理されていない空き家の所有者に撤去や修繕を勧告し、従わない場合は行政が代執行して費用を所有者に請求できることになった。
「都市と地方で相場は違うが、一軒家の解体費用は大体100万~200万円です。放置して自然発火で火事が起きたり、家の老朽化でけが人が出ると所有者の責任になります」(国土交通省住宅総合整備課)
2018年5月には、香川県高松市が老朽化して危険な廃屋(写真参照)の解体費用約800万円を亡くなった所有者の孫3人に請求する方針を決めた。
これは行政代執行法に基づくもので、相続人である3人の孫には、支払いの義務が生じる。
「こんなに金がかかるなら自治体に無償で寄附しよう」と思っても、よほど利用価値のある土地でない限り受け取ってもらえない。
そうならないために最も有効なのが「相続放棄」だ。いったん相続すれば後に自治体に寄附するのは難しいが、最初に相続放棄すれば、所有者がいない不動産は国有地になる。厄介な土地を背負い込まなくて済むのである。
※週刊ポスト2018年6月1日号