「放棄できる条件は限られていて、主に被相続人に借金があったことを知らなかったケースです。審問ではいつ、被相続人の借金の存在を知ったかの確認や相続発生後に遺産を使っていないかを尋ねられることが多いが、不正がなければ放棄は認められます」(北村真一弁護士)
これで相続の煩わしい手続きも、使わない家や土地を相続して余計な費用負担がかさみ、「しまった」と後悔することもなくなる。
「親が亡くなって子供が相続放棄した場合、相続権は第二順位の祖父母、第三順位の親の兄弟姉妹(亡くなっている場合はその子供)に移る。礼儀として、叔父叔母や従兄弟に、“相続放棄したので土地の相続権はそちらにあります。負債はありません”などと連絡した方がいいでしょう」(同前)
逆に、従兄弟が相続放棄して叔父叔母の遺産の相続権が自分に回ってくることもある。放棄によって身軽になる――そうすることが“最強の相続対策”となるケースは少なくない。
※週刊ポスト2018年6月1日号