不動産契約を結ぶ際には、重要事項説明をする必要があり、「嫌悪施設」については予め伝える必要があるが、物件から嫌悪施設までどのくらい離れていれば説明が必要なのかの判断は、明確な基準がないという。Yさんが、不動産業界で伝説となっているケースのひとつを教えてくれた。
「バブル期に、あるデベロッパーが海沿いのリゾート物件を手がけた話です。パンフレットでは『海まで歩いて○分』と宣伝文句を入れ、海水浴ができることを必死にアピールしたのですが、実はその海水浴場が原子力発電所の真横にあることはまったく触れられていなかったそうです……」
どれだけ必死に隠しても、現地を下見すれば一発で分かってしまうが、「下見するほど乗り気なら、後はこちらのテクニックで何割かは成約までもっていけます」と語るYさん。裏を返せば、高い買い物をするなら、ある程度は自分で気になる点をチェックしなくてはいけないということである。