スマホの登場でオンラインゲームの弊害は主婦層にも
一般社団法人日本オンラインゲーム協会の2017年の調査によると、インターネットを介した国内オンラインゲームの市場規模は1兆2796億円を突破。このうちスマホやタブレットを使ったソシャゲは1兆1517億円を占めた。
内閣府の2017年度調査では、小中高生の7割以上がオンラインゲームをしている。子供たちのゲーム内の高額課金が深刻な社会問題へと発展するなか、WHO(世界保健機関)は今年1月、ゲームに依存するあまり日常生活が困難になる症状を、新たな病気として定義した。
著名人の中にも高額課金者は多く、LINEのソシャゲ『ディズニーツムツム』にハマったタレントの千秋(46才)は、高級ブランドの財布が買えるほど課金したことをツイッターで告白。星野源(37才)も、ソシャゲの『アイドルマスターシンデレラガールズスターライトステージ』に心酔し、新キャラを獲得するため高額課金したことを自身のラジオ番組で公言している。
そもそも日本でオンラインゲームが普及したのは、2002年に登場した『ファイナルファンタジー(FF)XI』がきっかけだった。『ネトゲ廃人』(リーダーズノート)の著者でノンフィクションライターの芦﨑治さんが指摘する。
「FF XIは、オンラインでつながった他人と『パーティ』と呼ばれる最大6人のグループを組み、一緒にプレイするゲーム。FF XI以降、同様にパーティを組んで仲間とつながるゲームが相次ぎ発売され、のめり込みすぎて私生活が崩壊する“ネトゲ廃人”が続出しました。
当時は、自宅のパソコンやゲーム機でゲームを行うのが主流。“廃人”たちは、ゲーム画面が見えるよう扉を開けたまま用を足したり、あらかじめ数日分の食料を買い込み、3日3晩ひたすら引きこもってプレイを続けていました」
ちなみに一般的にネトゲはパソコンやゲーム機を使ったオンラインゲームで、ソシャゲはスマホで遊ぶゲームを指す。
そんな中、スマホの登場で、オンラインゲームの弊害は主婦層にも広がった。『ネトゲ廃女』(リーダーズノート)の著者で、ノンフィクションライターの石川結貴さんが解説する。
「スマホなら場所を選ばずどこでもゲームができる。SNSで人とつながることが当たり前になり、初心者向けのソシャゲも続々と登場しました。敷居が一気に下がり、ソシャゲが爆発的に普及した結果、比較的時間に余裕のある主婦層にまでユーザーが拡大したのです」
2016年に、セガゲームスがスマホ保有者を対象にスマホゲーム利用率を調査したところ、40代女性で43.7%、50代女性で45%が利用していることが判明した。だが、ゲームに夢中になるあまり誕生したのが、冒頭のA子さんのような “ソシャゲ廃人主婦”だ。