はっきりいえば、「100%安全な金融商品」など存在しないのです。私たちはリスクを負わざるを得ない、リスクと付き合っていかなければならない、という悩ましい問題がつきまとうわけです。
たとえば株式投資においても、かつてはJALや東京電力といった“親方日の丸的な大企業”の株を買っておけば、安定的な配当が得られて安心、などとされてきました。しかし、ご存じのようにいずれも経営が危機的な状況に陥り、株価も大暴落してしまいました。「安心=安全」ではなくなっているのです。
一方、バビロンの時代の金融システムや経済構造はどうかというと、今と比べるとかなり不安定だったはずです。「金貸し」が投資の中心だった時代に「元本保証商品」などなく、どんなに信頼できる相手で、十分な担保をとっていたとしても、お金が返ってこなくなるリスクは今よりもずっと高かったのではないでしょうか。
そう考えていくと、実態は「ミドルリスク・ミドルリターン」だったと見ることもできます。リスクの性質や大きさを理解して、損を防ぐ方法を考える。たとえ損失が発生しても大きくしないことが重要だったというように読み取ることができます。
バビロンの時代を参考にすると、ある程度のリターンを狙うためにある程度のリスクを取る「ミドルリスク・ミドルリターン」の発想が重要であることに気づかされます。