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ラーメン店経営は儲からない? 高騰するコストと独立系店主の苦悩

 A氏の店ではゲンコツ、背脂、あばら骨、鶏がら、鶏油、ニンニク、ネギの葉っぱ部分を使って濃厚スープを作っているが、「工場スープ」の場合は「でかいセントラルキッチンで作っていて、使う材料は豚の頭、ないしはもうひとつ足すぐらいではないでしょうか。そこに大量の化学調味料を入れていると思います」と述べる。そしてこう続ける。

「化学調味料はすごいです。元々の素材の味があそこまで薄いのに、あの味が出せるのは化学調味料の力です。正直、自宅でも豚骨煮込んで醤油と化学調味料を入れればできるレベルだと思います。それでいてチェーン店の中には高い利益率を出しているところもあります。ウチでは到底望むこともできない利益率です……」

骨代3000円vs骨・野菜代1万5000円

 最近の東京ではA氏の店も含め、1杯が750円以上のラーメンも普通だが、原価を極限まで減らし、薄利多売を目指して500円台でラーメンを提供するチェーンも存在する。A氏はそうした店がラーメンを安く食べたい人にとって大切な存在になっていることは認めつつも「本物」を味わってもらいたい気持ちも持っているという。だが、「本物」を作るにはカネがかかるとも力説する。

「ウチのラーメンの原価は全体の34%ですが、工場スープを使えば25%ぐらいになります。それよりさらに低い某チェーンの原価は100~120円ほどと聞いたことがあります。彼らは豚の頭の骨だけ30個ぐらい使い、100リットルのスープを作れます。一方、ウチは鶏がらも含めれば100kgの材料を使い、マックスでも1日250杯(100リットル)といったところでしょう。工場スープの場合は、300杯のスープは骨代だけで3000円ほどでしょうか。ウチは250杯を作るために、骨代と野菜代で1万3000~1万5000円使っています」

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