第二次安倍内閣がスタートしたが、「アベノミクス第2幕」ともいえる経済政策の恩恵を受けるテーマはなにか。これから沸騰期待の個別銘柄とあわせて、日本インタビュ新聞社代表で経済評論家の犬丸正寛氏が解説する。
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設備投資減税や法人税減税の一方、消費増税などで、都心部と地方の格差が広がっている。そのため第二次安倍内閣の経済政策は、地方活性化に重点を置くとみる。テーマは国土強靱化における「地方インフラ整備」あたりではないか。
そうした意味で私が注目する銘柄のひとつが、建設技術研究所(東証1部・9621)だ。同社は1945年に誕生した、日本で最初の建設コンサルタントとして知られる。手がける分野は社会資本整備全般で、特に河川、道路に強みがあり、地方の公共事業の実績は十分。コンサルティング事業だけに、人手不足の影響を受けにくく、業績の拡大余地は広い。
2014年12月期の第2四半期の営業利益は、前年同期比約2倍と絶好調だ。通期の業績見通しは据え置いているものの、すでに第2四半期の営業利益の進捗率は86.6%と上方修正は確実か。配当は2円増配の年20円が有力視される。
また、地方インフラ整備以外にも注目すべきテーマはある。第二次安倍内閣の経済政策では、伸び悩む輸出を好転させるべく、自動車産業をさらに強化するため、ハイブリッド後をにらんだ「省エネ」あるいは「新エネルギー」関連の優遇策なども想定され、注目テーマとなるだろう。
中でも注目すべき銘柄はユーグレナ(東証マザーズ・2931)。中高年齢層向けの健康維持、美容、アンチエイジングといったヘルスケア事業が主力だったが、食品および化粧品の素材として製造していた「ユーグレナ」(和名・ミドリムシ)を、バイオフィルムなどの化成品、バイオ燃料として活用する研究を始めてから、株式市場ではバイオ企業として認知されている。
特に、バイオ燃料への注目度が高い。すでに今年6月、いすゞ自動車とディーゼル車用の開発での提携を発表。さらに、ミドリムシを使った航空機用の開発も進行している。ボーイング、JAL、ANA、東京大学と共同で開発することを発表済みだ。航空機用のマーケット規模は、ディーゼル車用よりもはるかに広く、実用化されれば株価の上値余地は計り知れない。
また、ミドリムシは食品としても使われており、将来的な食糧不足の切り札としても期待されている。同社のミドリムシ事業は、原油依存からの脱却、食糧危機への対応といった非常にスケールの大きい材料といえ、長期的には、株価1万円台乗せの大相場の可能性も考えられよう。
バイオ系のベンチャー事業は、業績が赤字の企業が多いが、同社は黒字を継続しており、買い安心感がある。今期は、新株発行にともなう株式交付費の計上で経常減益となる見通しだが、売上高はここ数年2ケタ増ペースで推移している。
※マネーポスト2014年秋号