いくら相続対策を学んでも、実際に役立てるには親や兄妹と話し合わなければ意味がない。しかし、「家族で話し合う」というただそれだけのことが、相続となると途端に難しくなる。親、兄妹、その他の親族、さまざまな立場の思惑や心情、そして打算が絡み合うからだ。
例え相続会議をすんなり開けたとしても、1回ですべて結論が出るケースは稀で、2回、3回と続くことが多い。少なくとも、1回目については法定相続人に参加者を限定して開くと良いという。
“長男の妻”や“次女の夫”などは後に相続人(子供)が死亡した時にその相続人となるだけに、決して無関係というわけではないが、会議で「次の相続」まで議題が拡がってしまうという混乱を生みかねない。そのため、初回は1次相続人となる人だけを“出席資格”としたほうがいい。
その案に強く反発し続ける者がいたらどうするか。心理学者の富田隆氏はこう言う。
「たとえば、次男の嫁が文句を言っているようなら、一度会議に呼んで、全員の前で言いたいだけ言わせるのです。そうすると、言いたいことが言えなかったフラストレーションが減少し、攻撃衝動が消えていきます」
断わりきれないような場合に注意するのは、“次男の妻”を呼ぶなら、“長男の妻”や“長女の夫”など、同じ条件に該当する人は全員呼ぶこと。公平にしないと、そこからまた不満が出てくる。
叔父・伯母、甥・姪などが、いくら被相続人と親密であったとしても同様に、最初は参加を遠慮してもらい、「親兄弟で話し合って決めたことだから」と釘を刺しておこう。