一方、14日のECB理事会はテーパリング(量的緩和縮小)を推進中だが、落ち着いたとはいえイタリア、スペインの政局不安が台頭した後だけに、過度な金融政策に絡む発言は控えられることになろう。欧米の動きをにらんで日銀の金融政策にも大きな変化は見られないはずで、パウエルFRB議長、ドラギECB総裁、黒田日銀総裁の発言は相場にとって中立に働く可能性が高い。ただし、ECB理事会では、「債券買い入れ策を年内に終了させるかどうか討議する」と一部で報道されており、ユーロ高を意識した為替相場の円安傾向が相場の支援材料に働く期待はある。
米朝首脳会談の相場への影響は未知数だが、現状では売り材料とはならないだろう。物色的には方向感が定まらない展開が続きそうであり、個別株物色への傾斜が強まることが予想される。
改めて来週のスケジュールをまとめると、主な国内経済関連では、11日に4月機械受注、5月のマネーストック、中西宏明経団連会長会見、12日に4-6月期四半期の法人企業景気予測調査、5月の企業物価指数、14日に日銀金融政策決定会合(15日まで)、15日に黒田東彦日銀総裁会見。海外経済関連では、12日にFOMC(13日まで)、米5月消費者物価指数、13日にパウエルFRB議長記者会見、14日にECB(欧州中央銀行)定例理事会、ドラギECB総裁記者会見、中国5月の鉱工業生産・小売売上高、米5月小売売上高の発表がある。
このほか、11日から米ゲーム見本市「E3」(14日まで)、12日に米朝首脳会談、14日はラマダン(断食月)の最終日、15日に会社四季報・夏号発売、週明け18日は「端午節」で中国は連休となる。また、11日にドリームインキュベータ<4310>、カプコン<9697>、12日に豊田自動織機<6201>、13日にトヨタ紡織<3116>など3月期決算企業の株主総会も始まる。