投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が6月11日~6月15日のドル・円相場の見通しを解説する。
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ドル・円は底堅い動きを見せることになりそうだ。米朝両国による初の首脳会談で北朝鮮の非核化に向けた動きが好感され、円売りに振れやすい展開となりそうだ。また、連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペース加速への思惑が広がれば、ドル買い基調が継続する見通し。
米国のトランプ大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は日本時間12日10時から、シンガポールで首脳会談を行う。朝鮮戦争の終結と北朝鮮の非核化がテーマで、中国の習近平国家主席や韓国の文在寅大統領も同じタイミングで現地入りするのではないかとみられている。首脳会談が特に問題なく終了した場合、リスク要因の後退で円売り優勢の展開が見込まれる。
また、FRBは12-13日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で、3月以来の利上げに踏み切る見通し。市場ではほぼ織り込み済みで、年内は9月と12月に追加利上げを実施するかどうか注目される。足元の米経済指標は堅調な内容が目立ち、景気拡大を背景に利上げに前向きな見解が示されれば、ドルは一段高が見込まれる。
欧州の政治情勢に関しては、イタリアの新政権による財政拡大型の政策に懸念が残る。国内政局の混乱はひとまず回避されたことで欧州中央銀行(ECB)は金融緩和策の早期解除に前向きであるとみられており、ユーロ・ドルの買戻しが見込まれる。その際は、ドル・円の取引でもドル売りが増える可能性がある。一方、米トランプ政権は、鉄鋼・アルミ製品の輸入に関し欧州連合(EU)に対する輸入関税の追加を決定し、貿易戦争への懸念が再燃している。貿易戦争の激化は世界的な景気減速につながると警戒されており、ドルの上昇を抑える可能性がある。
【米朝首脳会談】(6月12日開催予定)
米国と北朝鮮の両国首脳による会談は史上初となる。朝鮮戦争終結と北朝鮮の非核化が会談の焦点になりそうだ。北朝鮮は大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射台撤去などについて報じられる。非核化実現に期待が高まれば、リスク選好的な円売りに振れるだろう。
【米連邦公開市場委員会(FOMC)】(6月12-13日開催予定)
FRBは日本時間14日午前3時に声明を発表し、その後にパウエル議長が記者会見する。政策金利の引き上げは確実視されているが、欧州政治リスクの影響に関する言及が注目される。目先の引き締め加速に期待が低下すれば、ドル売りがやや強まる可能性がある。