そのほかに、2泊3日の合宿や、数か月かおきの養成所のライブ、興行実習(3チームに分かれ、ライブの全てを企画するというもの)などといったイベントもてんこもり。そして最後に卒業公演で締めくくるという。Aさん曰く「とても慌ただしい1年でした」。
ただ困ったのは、翌月の授業スケジュールが2週間前にならないと発表されなかったことだとか。
「真剣にやればやるほど、バイトとの両立が厳しくなりました。生徒同士では、よくお互いに融通の利くバイトの情報交換をしていました。時折、忙しさとお金のなさでハイになる人がいて、消費者金融のカードを作り『魔法のカード出来たから飲みに行こうぜ』と、ヤケクソのように借金を始める姿もよく見ました」
時間も生活も大変そうな1年を送ったAさんだが、振り返ってみた今、授業料の40万円は「安かった」と述べる。
「売れるためには、面白さだけでなく愛嬌や一般常識が必要であることなどを教えてもらいました。一般常識も、たとえば“上座”の位置は、和食、中華、タクシー、楽屋、打ち合わせのプロデューサーの位置などで異なるなど、お笑い芸人としてというより社会人として大事なマナーを事細かく教えてもらえたので、とても役に立ちました。たぶんそんなことは、最初から事務所に入ったとしたら誰も教えてくれないでしょうしね」
養成所で学べることは、お笑いについてだけではないようだ。