むしろ、老後生活にとってリスクとなるのは、不安に駆られるあまり、「誤った老後対策」に走ってしまうことです。
「貯蓄から投資へ」という金融機関の誘い文句に乗り、退職金で投資家デビューをする人は多いですが、ほとんどの人は短期の売買による利益を狙って痛い目を見ることになります。
実際、私の知り合いの元証券マンは、定年退職後に個人投資家デビューしましたが、結果は散々でした。彼は退職金を目減りさせてしまい、困り果てた末に再就職口を見つけました。
プロの証券マンですら大失敗するのです。ましてや専門知識を持たない人が、短期間で勉強しただけの“安易な老後対策”に走ったら、虎の子の老後資金を減らす恐れがあるのは当然です。巷間いわれている老後対策には、リスクが十分に周知されていないものが多いですから、尚更でしょう。「張り切りすぎることのリスク」をもっと知ってもらいたいと思っています。
※週刊ポスト2018年6月22日号