投資

3000万円儲かった仮想通貨長者 バブルの後に見た地獄

 仮想通貨で年間20万円超の利益を確定させると、確定申告・納税の義務が生じる。その利益は「雑所得」となるが、株式投資などとは課税の仕組みが異なる。株の売却益は「申告分離課税」に区分され、税率が一律20%であるのに対し、仮想通貨は給与などと同じ「総合課税」が適用され、稼いだ分だけ税率が高くなる累進課税となる。同じ1000万円を儲けても、株なら200万円だが、仮想通貨なら控除額を引いても約330万円。4000万円以上は最大税率の55%(所得税45%、住民税10%)となるため、1億円稼いだ“仮想通貨億り人”の税金は約5200万円になる。

 株と違い、損益を翌年に繰り越せない点も、税制面ではかなり不利だ。

 さらに元長者たちを悩ませているのが、課税対象となる「利益確定」に様々なケースがあるという点だ。トラスティーズ・コンサルティングLLPのパートナーで公認会計士の寺田芳彦氏がいう。

「他の仮想通貨に乗り換えても利益確定になります。たとえば昨年、100万円の元手で買ったビットコインが2000万円になって、さらに成長率が高かったNEMに全額乗り換えた場合、“2000万円の利益が確定した”とみなされます。税額は700万円ほど。NEMは昨年120円まで上がったが、今年に入って大暴落し、今は20円台になっていますから、納税するお金が残っていない人がいてもおかしくない」

「乗り換える際に税金分だけを残しておけばよかった」と嘆いても後の祭り。仮想通貨バブルの最中、そんな“消極的な判断”ができず、多くの人が投資を続けたことが現在の“地獄”を招いてしまった。

※週刊ポスト2018年6月22日号

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