とくに故人と330平米(100坪)以内の宅地で同居していた親族が相続する場合、「小規模宅地等の特例」を適用すれば、土地の評価額が8割減になる。
「基礎控除もあるため、この特例が使えれば相続税を一気に圧縮できます。円満に合意できるなら、子供が買ったマイホームを売却して実家に移り住むのも選択肢です」
現金の不動産化では、一時期、注目されたのがタワーマンション節税だ。高層階と低層階の実売価格が大きく異なるのに、固定資産税の評価額が同額になることを利用して、差額分の相続税を抑える節税法だ。
2017年度からの制度改定で、20階以上のマンションの高層階は1階よりも最大10数%ほど評価額が高くなった。
「それでもまだメリットがあると指摘する人もいるが、相続税に関しては時価換算が原則なので、税務署に追徴税を課される恐れがあるので注意が必要です」
メリットを強調する報道も多いが、冷静に真偽を見極めることが必要なのだ。“老後対策情報”だらけの世の中だからこそ、その対策をやるべきか、やらないべきか、その判断が何より重要になってくる。
※週刊ポスト2018年6月22日号