サッカーW杯ロシア大会が開幕した。サッカーのW杯は五輪と並ぶ4年に1度の祭典であり、開催国に限らず世界中に大きな経済効果ももたらす一大スポーツイベントだ。
身近な事象と景気の関係に詳しい三井住友アセットマネジメント、チーフエコノミストの宅森昭吉氏は、「スポーツと株価、この一見まったく無関係に見える両者は、ときに意外な相関を見せることがあります。なかでも、サッカーや野球といった人気スポーツは特にその影響が顕著です」と指摘する。
たとえば、2009年に行なわれた野球世界一決定戦、WBC(ワールドベースボールクラシック)。日本代表の2連覇をかけた決勝の日の日経平均株価の値動きは、試合運びとほぼ完全に連動していた。中盤までの接戦では横ばいで、9回裏で追いつかれると急落、10回表で日本チームが優勢に転じると株価も一転して上昇し、金メダル授与の瞬間にその日の最高値をつけたのだ。ちなみに、同大会期間中に日経平均は1054円も上昇している。
サッカーでも、過去にはその成績と株価が不思議な連動を見せている。1997年、サッカー日本代表がW杯初出場を決めたいわゆる「ジョホールバルの歓喜」の翌日、日経平均株価は1200円も上昇したのだ。
実はこの日は北海道拓殖銀行の経営破綻が発表された日で、大暴落してもおかしくないタイミングだった。「これほどの悪材料に見舞われたにもかかわらず、これほどの上昇を記録した理由は『ジョホールバルの歓喜』以外に考えられない」(宅森氏)。スポーツイベントが景気や株価に与える影響は決して小さくないことがわかる。