「とにかく交通ルール通りに運転する」と言うAさん。都内には火葬場は数か所しかなく、交通状況によっては火葬場まで1時間以上かかることがあるが、遺族との会話には、気をつけなくてはいけないポイントがあるそうだ。
「お迎えにあがったり、霊柩車に同乗された御遺族に、葬儀や火葬に関することを聞かれることが非常に多いので、葬儀一般のルールについては勉強する必要があります。宗旨によって作法が異なることもあるので、そのあたりも勉強しています。
また、どれだけ天気が良くても、『気持ちが良い天気』とか『晴れて良かった』とか『絶好の……』などの言い回しは絶対に禁句です。悲しみに暮れている御遺族に失礼にあたります。その他『続く』『追う』『また』『重ねて』など、不幸が重なるような表現も使わないのがマナーです」
助手席に乗った遺族の中には、泣き続ける人、憔悴しきった表情で俯く人がいる一方で、爆睡する人、携帯をいじりっぱなしの人、故人の悪口を言い続ける人、香典の中身をチェックする人など、様々なよう。近年では、「霊柩車に乗った私」をスマホで自撮りしてSNSに投稿する人もいるそうだ。