「3か月間の研修が終わると、さっそく東北支社勤務。新人はいったん全国に散り散りになるのが、お決まりコースなのです。父親には泣き言を言いましたが、『3年は我慢しろ』と言われ、コネで入っているだけに、返す言葉がありませんでした。仕事が大変なうえ、会社からはTOEICの目標点数も課せられ、休日は英語の勉強漬け。彼氏とは遠距離恋愛を続けていましたが、会えるのは2~3か月に1度で、1年ほど経った頃に振られてしまいました」
以来、十数年の時が経過し、Nさんはいまだにその会社で働いている。Nさんは、順調に出世しているのだ。
「別に、私が優秀だから出世しているわけではないと思います。ウチの会社はもともと女性の管理職が非常に少なく、それが内外から問題視されたため、女性の管理職をどんどん増やしている最中で、それに乗っかっただけです。同期の男性の中には、私より遥かに優秀な人間が何人もいるのに、肩書きでは私は同期のトップで、完全に辞めるタイミングを失ってしまいました……」
こう謙遜するNさんは、「こんなはずじゃなかった」と、今ではコネを使ったことを後悔しているのだとか。その会社名や肩書きから「バリバリのキャリアウーマン」を想像する人は多いようで、Nさんがどれだけ「専業主婦になりたかった」と言っても信じてもらえないそうだ。