「私はブランド品にも興味がないし、つつましく生活してます!」──そういう人も、よく調べてみればムダ支出が多いことがある。それを見直せば、劇的に家計が改善することは少なくない。新刊『ほったらかしでもなぜか貯まる!』を上梓したファイナンシャル・プランナーの風呂内亜矢氏が、身の回りに潜む「ラテ・マネー」を炙り出す。
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日々の節約や節制をがんばっているつもりなのに、お金が貯まらないと感じている人は多いでしょう。そうした場合、生活に紛れている「ちょこちょこ買い」が、家計をメタボ体質にしている可能性があります。
アメリカの資産アドバイザーであるデヴィット・バック氏は、毎朝惰性で買っているカフェラテのような支出に「ラテ・マネー」という名前を付けています。1回400円くらいの小さな支出に見えても、1か月のうち25日使えば1万円、1年積み重ねると12万円の出費になります。10年で120万円、30年では──。この金額を見たときに「仕事が効率的に進んで、それ以上のリターンがある」と思えるのであればラテ・マネーではありませんが、「何となく買う習慣になっていただけで、もったいないかも……」と感じたようであればラテ・マネーにあたります。
お金について冷静に判断をしたいときには、掛けて「累積」を出したり、割って「1日あたり」「1回あたり」の金額を出したりすることがお勧めです。
通信販売やエステの契約などで「1日あたり○○○円!」と表現されると安く感じますし、「老後資金は5000万円必要」「1億円必要」と言われると途方もなく感じます。しかし、たとえば1日300円、400円でもずっと続けることで「累積」を出して惜しく感じることもありますし、5000万円を準備するなら残された期間で割り算すれば1日あたりいくらで「現実的に目指せる目標だ」と感じられるなど、視点が変わることは多いです。
日常生活に紛れたちょこちょこ買い(ラテ・マネー)は、どんなところに隠れている可能性が高いでしょうか。例えば次のようなものが挙げられます。
・使っていないクレジットカードの年会費
・もう通わなくなっているジムの会費
・頻繁に時間外に引き出しをするATM手数料
・仕事帰りに立ち寄る習慣になっているコンビニでの買い物
・解約を忘れている携帯電話の有料オプション
・一次会で満足しているはずなのに断れずに参加する二次会
・終電を逃したタクシー代
試しに「累積」を計算してみましょう。これら全部を使っている人だったら、20年でいくらになるでしょうか。単価や頻度は適宜決めてみました。