背景に日米の“増税密約”があるという見方である。根拠もある。
「消費税率15%」というのはIMF(国際通貨基金)が日本に増税を迫っている数字とピタリ重なる。
ドルの基軸通貨体制を守るIMFの最大の出資国は米国であり、そのIMFは年次審査報告書で安倍政権のこれまでの増税延期を批判し、日本に対して消費税を15%まで引き上げるように毎年提言し続けている。
汚れ役は次の政権に
増税に消極的だった安倍首相はようやく「消費税10%」の実施を公約した。トランプ氏にすれば、“税率15%にすれば、もっと米国から装備を買えるじゃないか”というわけだ。
安倍首相にとっても、消費税のさらなる増税には抵抗感はない。この秋の自民党総裁選で3選すれば、首相の残り任期は最長3年だ。2019年10月に消費税率を10%に上げた後、15%への増税法案を国会で成立させるのは次の政権の仕事になる。
しかも、ポスト安倍の総裁候補たちは、『人生100年時代の社会保障』を提唱する小泉進次郎氏を筆頭に、いずれも安倍政権の財政拡大路線に批判的な増税論者ぞろいだ。
「安倍政権が防衛費の倍増を決めて空母艦隊の建造に取りかかり、米国からF35を大量に買い付けても、増税して代金を支払うのは次の政権や、次の次の政権。安倍さんは何事も自分に逆らう目障りな進次郎に、それなら“増税がどんなに大変か苦労してみればいい”くらいに考えて、いまのうちにトランプから大量に買い物をしておこうと考えているんじゃないか」(防衛族議員)
誰が増税を決めようと、消費税15%のツケを回されるのは、国民なのだ。
※週刊ポスト2018年6月29日号