飲みに誘うという行為は、それ自体ではどの類型にも当たりませんが、断わっても執拗に誘い、応じないと嫌がらせや無視をすれば、(2)や(3)の類型に当たります。飲みに行けない理由を根掘り葉掘り聞いたり、プライベートな予定を変更するよう求めて干渉すれば、(6)の類型も問題になります。
パワハラ行為について「職務を遂行する過程において、部下に対して、職務上の地位・権限を逸脱・濫用し、社会通念に照らし客観的な見地からみて、通常人が許容し得る範囲を著しく超えるような有形・無形の圧力を加える行為」と評価され、被害者の人格権を侵害する不法行為になるとした裁判例もありました。
パワハラはその性格上、職務に関連して行なわれるのが普通です。これが不法行為になると会社に使用者責任が生じますから、上司は自戒すべきだと思います。
【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。
※週刊ポスト2018年6月29日号