“名古屋メシ”の代表格「ひつまぶし」。だが、その“元祖”をめぐっては、論争のタネだらけだ。
明治6年に創業し、1985年に商標登録をしているのが「あつた蓬莱軒」。同店HPでは明治時代に、2代目店主と女中頭が相談して鰻を細かく切って米と混ぜるスタイルが確立したと説明されている。
一方、「いば昇」はHPで〈大正時代に名古屋で始まり、当店「いば昇」も発祥店のひとつ〉とする。“発祥のひとつ”とは何かを問うと歯切れの悪い答えだった。
「ひつまぶしが大正時代からあったといって間違いではありませんが、メニューとして有名になったのは50年ほど前から。もともとは、いまほど有名ではありませんでしたから……」(「いば昇」担当者)
他にも、名古屋では青柳総本家が約130年間販売を続ける「青柳ういろう」が有名だが、ういろうの元祖は神奈川県小田原市の「株式会社ういろう」。室町時代に中国から伝来し、外郎家が650年間、25代にわたり歴史を紡いできたという。
「当社が発祥であることは間違いないが、名古屋名物と呼ばれることは悪く思っていません。むしろ、ういろうに知名度を与えてくれて有難いと思っているくらいです」(同社広報担当者)
話を総合すると、本当の元祖は中国……ということのようだ。
※週刊ポスト2018年6月29日号