全国の名産品には、どこが「元祖」なのか争っているケースも多いが、そうした争いに終止符を打った事例もある。太宰府天満宮周辺の名物「梅ヶ枝餅」だ。
梅ヶ枝餅協同組合理事長の不老安正氏がいう。
「梅ヶ枝餅が商標登録された昭和28年に、組合が発足しました。30年ほど前まで、梅ヶ枝餅屋さんは50軒近くあり、その内2軒が『本家』、残りのほとんどが『元祖』を名乗っていたので、お客さんから『どこが本家で、どこが元祖?』という質問が殺到した。
そこで、組合の取り決めで、全店で看板から『元祖』の文字を外したのです。組合の方針に従わなければ、梅ヶ枝餅を焼けなくなってしまいますからね」
元祖争いよりも、餅を焼き続ける道を選んだ太宰府の判断が正しかったことは、梅ヶ枝餅が愛され続けているという事実が裏付けている。
※週刊ポスト2018年6月29日号