代替確率の高い仕事の基準は明確
そこで本誌が「20年後になくなる仕事」を徹底調査したところ、のっぴきならない未来が見えてきた。現在、この「AIやロボットによる職業代替」問題について、最高の調査結果とされているのが、2015年に英オックスフォード大学と野村総研が共同研究した「人工知能による職業別代替可能確率」だ。
601種類の職業について「10~20年後、AIやロボットが代わりに業務を担っている確率」を試算。いわば、職業ごとに“仕事がなくなる可能性”を数字化したのだ。
代替確率の高い職業を見ていくと、電車運転士(99.8%)、経理事務員(99.8%)、ビル清掃員(99.5%)、警備員(97.8%)、タクシー運転手(95.4%)、行政書士(93.1%)、税理士(92.5%)といった多種多様な職種が並ぶ。AIの職業代替に詳しい株式会社「働きごこち研究所」代表の藤野貴教さんが語る。
「代替確率の高い仕事の基準は明確です。『単純』で『繰り返し作業』、かつ『それを高速化すると効率がアップする』もの。経理や警備はその筆頭です。機械なら疲れることもなく24時間数字を打ち込むし、監視もできます。レジ打ちもそうです。すでにアメリカでは『Amazon Go』というレジや店員の存在しない店が登場しており、この流れは加速するでしょう」
資格さえ持っていれば食いっぱぐれないといわれていた税理士、行政書士、公認会計士などのいわゆる「士業」が代替確率の高い職業リストに入っているのも、同じところに原因がある。
「決まったフォーマットに決まった文章や数字を書くというのは、近い将来、学習機能を持つAIでカバーできる可能性が高いのです。とくにお金の計算に関しては、すでに一部の企業で、いちいち人が数字を入力しなくても自動で財務管理ができるソフトを導入し始めています。単純作業しかやらないタイプの税理士は、生き残ることが難しい時代になってきている」(藤野さん)