吉岡さんの言葉に、深くうなずく陳さん。
「中国のコンビニには、コーヒーを入れたりするサービスもないです」
品出しをしながら、お客さんが来たらレジへ。商品を袋に詰めながら、たどたどしい手つきでカフェラテを作る陳さんを見つめ、「ごめんね、覚えることが多くて」と笑いながら続ける。
「みそ汁にお箸をつけるという考え自体、外国人スタッフにはないんです。海外ではミソスープもトマトスープも、スプーンで食べるものだから。スプーンやフォークの実物を貼った標本を使ったり、接客シチュエーションを写真にしたりして、目から覚えてもらうような工夫を施しています」(吉岡さん)
1分でも遅刻したらその日は仕事をさせてもらえない
外国人スタッフへはおよそ30時間かけて研修しており、10回のテストをクリアしないと卒業できない。厳しくするのは、卒業後の待遇を考えてのこと。
「ここで研修している間は失敗しても100%私たちが守れますが、お店の現場ははるかにシビアです。普通に接客していても『外国人で大丈夫なの?』と思われてしまう。そんなお客さんからの視線に耐えうる強い心を持って、完璧な接客をしてもらわなければならない。 『時間を厳守する、約束を守る』といった日本で働く上での大事なルールは口を酸っぱくして伝えています」(吉岡さん)
研修期間中は15分前集合が原則。1分でも遅刻したらその日は仕事をさせてもらえないのだそう。