近くて便利、コンパクトで高機能なコンビニは、現代のニッポンを象徴する社会インフラだ。外国人留学生にとって、コンビニは日本語だけでなく日本文化を学ぶ生きた教材となっている。コンビニで働く留学生たちが感じた“フシギの国・ニッポン”をリポートしよう。
日本独自の専用カトラリー
中国・南京市で生まれ育ち、現在は日本語学校に通いながらコンビニで働いている留学生の陳鼎頤さん。彼女が驚いたのは、フォークやスプーン、ストローなどのカトラリーの多種多様さ。
「先割れスプーン、初めて見ました。中国にはない。おかずとソースが一緒になった“カツカレー”のようなものにつけると聞いて、ナルホド!と。あと、細長いスプーンは長いカップに入ったアイスにつける、とか、大きいスプーンはスープに、とか短いストローは小さなパックの飲み物に、太いストローはこの商品に…とか、“○○専用”がたくさんあるのにもビックリ。覚えることはまだまだ多いです」
深夜の女性1人客
東京・中野区のコンビニで働くネパール出身のグルンさんは、深夜に1人で入店した女性の姿を見てギョッとした。
「こんなに遅くに、1人で来るなんて、よっぽどの緊急事態で一体ナニを買うんだい!?と思ってビックリ。だけど、レジに持ってきたのはお菓子1つ。ひっくりかえりそうになっちゃった。ボクの国ではアリエナイ。やっぱり日本は治安がいいんですね」
上様ってナニサマ!?
“ウエサマ”という単語が頭に残って離れないと振り返るのは、1年前に母国・タイに帰国したナルバディンさん。
「タイにも領収書はあるし、レジで出す方法は簡単なので、とくに困ってなかったんです。でも、ある時お客さんから『宛名は上でね』と言われて、“ウエ”とカタカナで書いたら『困るよ! 書き直して!!』と怒られた。その時初めて、日本の領収書には“上様”という書き方があることを知りました。怒らせてしまったのはショックだったけれど、生きたニホンゴだ!と感動した」