これからの旅行シーズン、国内観光地でホテルを予約しようと思ったらどこも「満室」で泊まれない。それは外国人観光客の急増によるものだ。「観光立国」を掲げる国としては“嬉しい悩み”なのかもしれない。ところが満室のはずのホテルが「実はガラガラ」だという。いったいなぜ?
日本を訪れる外国人観光客は増加の一途で、昨年度の観光客数は前年度比19.9%増の2977万人と6年連続で過去最高を更新。ホテル不足は深刻で、2020年までには東京や大阪などの都市部を中心に、およそ4万4000室が不足するとも言われている。
外国人観光客が増えるのは、各国が軒並み旅行シーズンに入る7月から8月。これからが宿不足の本番だ。ホテルや旅館はホクホク顔だろうと思いきや、むしろ困った事態に直面しているのだという。
キャンセル連絡なしの「No Show」
「早い時期に大量の予約を入れ、キャンセル料が発生する直前にドタキャンする外国人団体客が多いんです。確かに契約上は違約金も発生しないので、こちらは大慌てで新規のお客様にご案内するしかありません」(都内のビジネスホテル予約係)
直前にキャンセルが出た後で、空室を埋めるのはほとんど不可能だ。
「出張に来るビジネスマンの連泊予約を断わったりしているので、経営的にも大打撃です」(同前)
こうしたドタキャン問題は、ここ数年増え始め、社会問題になっていた。キャンセルの連絡があるのはまだマシなほうで、最近はさらにエスカレートしている。
「キャンセル連絡なしで来ない客を指す『No Show』は、外国人客がほとんど。『No Show』には100%のキャンセル料がかかりますが、現地決済を選択された場合は、キャンセル料を徴収しようがない。電話やメールで問い合わせしても、返事がないことが大半です」(京都のビジネスホテル従業員)