気象庁は6月29日、関東甲信地方が梅雨明けしたとみられると発表した。平年の関東甲信の梅雨明けは7月21日されており、6月に梅雨明けするのは1951年の統計開始以来、初めての出来事だという。身近な事象と景気の関係に詳しい三井住友アセットマネジメント、チーフエコノミストの宅森昭吉氏は、「梅雨明けは早いほど、景気にプラスの影響を与えます」と指摘する。
一般的に、梅雨明けとともに本格的な夏が到来するものだが、宅森氏によると夏の期間が長く暑いほど季節商品がよく売れるので、経済に好影響をもたらす。1951年以降のデータをみても、梅雨明けが平年より早い年は75%の確率で景気拡張局面にあるという。
「早い梅雨明けで夏が早く到来するほど、夏物衣料など季節商品が売れるようになります。さらに、夏休みのレジャー消費も気候に大きな影響を受けます。暑い夏ほど海、山、プールなどに出かける人が増え、関連商品も売れるからです。逆に冷夏だと過ごしやすい反面、季節消費が落ち込むので景気にはマイナスとなります」
この傾向は冬でも同じで、ある程度寒いほうが景気にはプラスで、暖冬の年は消費がいまひとつなのだという。
ただし、景気に好影響を与える暑さや寒さにも限度はある。猛暑や厳冬があまりにも行きすぎると、逆に景気にはマイナスだと宅森氏は指摘する。
「たとえば、2018年の年明けは記録的な寒さと大雪に見舞われたことから、2018年1~3月期の実質国内総生産(GDP)が9期ぶりにマイナスになってしまいました。厳冬や猛暑が外に出られなくなるほどのレベルになると、消費は逆に落ち込んでしまいます。この夏も『ほどほどの猛暑』になるとよいのですが」
幸い、酷暑をもたらす可能性があるラニーニャ現象はこの春に終息し、現在は平常状態にある。また、気象庁はこの夏の気温は平年より高めという長期予報を出しており、季節消費を拡大する長くて暑い夏になる可能性が高そうだ。
文■森田悦子(ファイナンシャル・プランナー/ライター)