「ダイエットにも効果があるらしい」「強炭酸やフレーバー炭酸水もおいしい」──飲料業界の常識を覆すアイディアがウケて、炭酸水が注目を集めている。続々とスーパーやコンビニに並ぶ斬新な新商品たちが今の世に求められている理由とは何か。
「食前に300~500mlの炭酸水を飲むと、泡(炭酸ガス)が胃の中に充満するため、胃がふくらみ、満腹中枢が刺激されることがわかっています」
そう語るのは、炭酸生活総合研究所の顧問・前田眞治さん。“ダイエットに効果がある”という話が広まってから、炭酸水がバカ売れしているというが、なるほど、それなりの理由があったのだ。
炭酸水市場は年々拡大を続け、生産量も年々増加。プレーン炭酸水の場合、2008年と比べると昨年は約8倍の伸びを示している。
かつて、炭酸水といえば、ウイスキーや焼酎などのお酒を割る“割り材”としてのイメージが強かった。2009年頃にハイボールがブームとなり、炭酸水需要が高まってきたが、当時はまだ炭酸割りというスタイルが中心だった。
それが大きく変化したのは、炭酸水を500mlペットボトルで発売して以降だという。アサヒグループホールディングス・杉正直さんが言う。
「風呂上がりやスポーツ後などで炭酸水の需要があることが調査でわかりました。また、“爽快感のある炭酸飲料を飲みたいけれど、糖分のことも気になる”といった健康を気遣う声もありました。そこで、500mlペットボトルを開発し、無糖の炭酸水をそのまま飲む“直接飲用”というスタイルを提案したのです」
ディーン・フジオカを起用したCMを覚えている人も多いと思うが、2011年に発売された『ウィルキンソン』500mlペットボトルが、直接飲用を一気に広め、「最近では炭酸水を購入する人の約7割が直飲みという調査結果もある」(杉さん)ほどだという。