シンガポールから帰国したばかりの千里さんは、シンガポールに3年駐在して帰国し、最近近くに引っ越してきて仲良くなりました。シンガポールと言えば、6年駐在していた先輩麻布妻・紗里さんがいます。こんなやりとりがあったそうです。
「へぇ、シンガポールは何年いらしたの?」
「3年です。もう向こうの自由さに慣れちゃって、永住したかったんですけど、旦那の会社から帰国って言われたので泣く泣く……またシンガポールに住みたいと思ってます」
そう話す千里さんに紗里さんはクスリと笑ったそうです。
「たった3年でそんなふうに思えるなんてなかなか合ってるんじゃない? 私は6年半いたんだけど、5年以上になるともうローカル化しちゃうから、日本に帰るのは最初怖かったわね。にしても3年かぁ。もっといられたらよかったね。3年じゃねぇ」
千里さんは私にこう嘆いていました。
「シンガポールだけじゃなく香港にもいたんですけど、駐在先の日本人ネットワークでは必ず『駐在何年目』ということから自己紹介するんです。“駐妻”にとっては、駐在歴は体育会系の先輩・後輩みたいに絶対的なものみたいで……」
麻布在住歴で言っても、“先輩”が引っ越さない限り、その期間を追い越すことはできません。「歴」がマウンティングの材料にされがちなのは当然と言えるでしょう。