この高性能半導体がスマホやパソコンはもちろん、AI、さらにはセキュリティや顔認証などのためのカメラ、自動運転の車などありとあらゆるモノに使われていく。そのため、かつてない長期的な需要拡大が見込めるのだという。
「その旺盛な半導体需要は過去のどのサイクルよりも大きく、息の長いものになると考えられています。そうした空前の需要拡大は『スーパーサイクル』と呼ばれます。これから、世界経済を引っ張っていく存在になるのは間違いないでしょう」(戸松氏)
何より注目すべきは、その高性能半導体の製造装置をはじめ第4次産業革命関連の独自技術を持つ日本企業が数多く存在することだ。
「世界有数の半導体製造装置メーカーである東京エレクトロン(東証1部・8035)や精密加工装置と精密加工ツールで世界トップのディスコ(東証1部・6146)、産業用ロボットなどで世界中の生産効率向上に貢献するファナック(東証1部・6954)をはじめ、高い世界シェアを持つ業績好調な日本企業には、今後ますます大きな成長が見込めます」(同前)
為替が今のままなら上方修正続出か
そんなスーパーサイクルに牽引されて、日本経済が機首を上げていく“予兆”も見て取れる。
日本経済研究センター(JCER)がまとめた今年4月の「景気後退確率」は4.1%と前月から1.5%低下した。これは内閣府が毎月発表する景気動向の先行指数(先行CI)をベースに、景気が落ち込む予兆を早期に検知するための警戒指標だ。値が大きいほど景気後退のリスクが高まっていることを示す。
「景気後退入りの目安となるのが67%です。それを大きく下回っており、現状では景気後退に陥る可能性は低いということです」(同センター研究本部副主任研究員・宮崎孝史氏)
“確率”と銘打っている以上、日本の景気の“上昇確率”は、実に95.9%とみることもできるのだ。