加えて、日本企業の「稼ぐ力」がたしかなものであることは、主要企業の決算からも読み取れる。日経新聞の集計によると、上場企業の2018年3月期の純利益は前期比35%増と2年連続で過去最高を更新。とりわけ顕著なのは電機や自動車業界で、トヨタ自動車や日産自動車、ホンダが相次いで過去最高益を更新した。最高益の企業が全体の3割を占めたというのだから、いかに力強い決算だったのかがよくわかる。
今期(2019年3月期)は原油などの資源高や米中貿易摩擦への懸念などから現時点では全体で前期比2%の減益予想とされているが、これはあまりに保守的な見通しだという。
「通期予想の前提となる想定為替レートを1ドル=105円の円高水準とする企業が多いが、110円台にある実勢とは距離があり、このままなら円安にブレた分の為替差益の恩恵で上方修正が相次ぐことが予想されます」(マーケットバンク代表・岡山憲史氏)
基本的に為替レートは金利差によって動くことが多く、金利の高い通貨ほど買われる傾向にある。日本の超低金利が続く中、米FRB(連邦準備制度理事会)が利上げ、欧州中央銀行(ECB)も金利正常化に向けた動きを見せるなど、日本と米欧の金利差は拡大している。円安が進む素地は整っており、それが日本企業の追い風となる可能性も高まっているといえるだろう。
※週刊ポスト2018年7月20・27日号