具体的には、仮想通貨交換業者のみなし業者16社全てに立入検査を実施したほか、登録業者16社に対しても一部で立入検査を行うなど、利用者保護の立場から検査・監督の強化に動き、3月8日には交換業者7社に対して一斉行政処分を行なった。
金融庁がこうした行政処分を下したのは、仮想通貨交換業者の内部管理やセキュリティ対策が非常に不完全だったことを立入検査などで確認したからだ。日本仮想通貨交換業協会が設立されたのも、自主規制団体設立を強く求める金融庁に呼応するためだ。
ところが、上述の通り6月22日には日本仮想通貨交換業協会の中核業者が、金融庁から業務改善命令を受けてしまった。業務改善命令を受けた交換業者は、月に一度、改善報告書の提出が求められる。その進捗度合いによっては、当局からなんらかのアクションが出る可能性だってある。
もちろん、こうした懸念は、短期的には仮想通貨価格に影を落とすネガティブな要因となろう。だが、金融庁の規制強化によって仮想通貨交換業者の事業姿勢や管理体制がしっかりしたものになることは、個人投資家が安心・安全に取引できる環境が整うことに他ならない。したがって、中長期的には健全な仮想通貨市場の育成につながることから、ポジティブな材料と考えることもできるだろう。