そんなファンドの盛衰を目の当たりにしてきたこともあって、規模が大きくなることを不安視する声も少なくない。市場関係者はこう語る。
「中小型株運用が中心のひふみ投信では、純資産総額が大きくなりすぎると“池の中のクジラ”のように身動きが取りにくくなる。この先、運用難に陥る可能性もあるのではないか」
そうした見方を藤野氏は一蹴する。
「純資産総額が増えたから運用成績が悪化するというリスクは想定済みで、残高がさらに膨らんでも運用に支障を来さないような戦略は常に考えています」
事実、相場が乱高下した2017年9月末~2018年4月末の半年間で見ても、TOPIX(東証株価指数)の「+6.99%」に対し、その倍近い「+13.1%」のパフォーマンスを残し、直近1か月(6月末時点)でもTOPIXが「-0.8%」に沈むなか、「-0.2%」となっている。なお、2008年の設定来で見ると、実に「+419.7%」(その間のTOPIXは「+94.3%」)という驚異的な成績を見せている。
リスクを減らしながら資産を殖やす具体的な戦略とは何か。藤野氏が続ける。
「投資対象を『内需』『外需』『グロース(成長重視)』『バリュー(割安重視)』で分類し、『内需グロース』『内需バリュー』『外需グロース』『内需バリュー』の4象限をどういう比率で持つか。これが守りながら殖やす運用で最も重要です。ひふみ投信は中小型株中心と見られがちですが、これまでも業種や規模にとらわれることなく、これら4象限の比率を柔軟に組み替えてきました。