おいおい、話が違うじゃねーか。そこで慌てて○○の広報に連絡したところ、なんと彼女は退職していた。そこで上司が出てきたのだが、この人も仕事をしたがらない。
「いやぁ~、プロデューサーはあなたが勝手に動いたことを激怒しているんですよ。『仁義を通していない』なんて言ってまして。もう企画自体は無理ですね」
「おたくの部下の杜撰な仕事で、こんなことになったんです。彼女がプロデューサーに話は通す約束だったんですよ。今だったらAさんのマネージャーはインタビューの時間を空けておいてくれています。プロデューサーの許可を取っていただけませんでしょうか」
「いやぁ~、彼は私の同期なのですが、一度やらないと決めたらやらない頑固な男なんですよね~。無理ですよ~」
「えぇぇ……。そこを何とかお願いします! マネージャーに今連絡いただければ、まだAさんのインタビューはできるんです」
「あのね、あなた、こちらに頼んでいる立場なんですよ。はいはい、もう企画も全部なしね。おたくには一切の素材を出すこともありません」
これで企画は吹っ飛んだ。かくして代替企画を突貫工事で作ることとなったのだ。
部下は「どーせ私は辞めるんだからまぁいいや」とばかりにテキトー過ぎる対応をしたのだろう。上司にしてもテレビ局の中では決して花形とは言えぬ部署なだけに、制作職の人間、しかもプロデューサーには頭が上がらないのだろう。
別に「テレビブロス」の6ページは広告企画でもなんでもない。表紙を同番組が飾り、しかも同番組のマニアらに寄稿してもらう、基本は同番組をホメまくる要素盛りだくさんの企画すべてを吹っ飛ばすこの広報担当の肝の入りぶりったら今でも見上げたものだと思っている。