山や海の事故で出動する救助隊。警察や消防など公的機関の救助隊が出動した場合、基本、遭難者に救助費用が請求されることはない。救助隊員は公務員であるため、その費用は税金でまかなわれているのだ。
そうした公的救助隊以外に、民間の救助隊が出動することもある。山岳ジャーナリストの羽根田治さんが語る。
「山小屋の従業員や山岳ガイドが民間救助隊として活動。彼らは遭難者から近い場所にいる可能性が高いため、出動依頼がかかったら数人態勢で救助に駆けつけます。1日1人当たりの人件費は2万~5万円。ほかに消耗品の装備代や保険料などもかかってきます。これらは遭難者が負担します」
また、捜索が長期にわたり、公的機関の救助活動が打ち切られた後も、遭難者の家族などから依頼があれば、東京都山岳連盟が捜索を引き継ぐ。同団体の救助隊隊長を務める金子秀一さんは、その内訳を次のように説明する。
「捜索費は、山道の危険度により異なりますが、日当で1人1万5000~5万円。加えて、宿泊費6000円や交通費などの手当てがつきます」
例えば、2人で5日かかった場合、実費を除いても最低21万円。決して安くはない。