「部屋から出るなら冷房切って! もったいないでしょ!」。郵便受けを覗きに行こうとしただけなのに、妻の小言が飛んできた──この夏、そんな経験をしている人もいるかもしれない。
記録的猛暑に見舞われる中、エアコンが欠かせなくなった家庭内で「電気代」は大問題。妻が「節電」にピリピリするのも無理はない。しかし、本当にそれらの節電術は意味があるのだろうか。節約アドバイザーの丸山晴美氏はこう指摘する。
「巷の節電術は単なる思い込みで、かえって逆効果になる例が多いのです」
「微風」より「強風」が効率的
夏の家庭の電力消費量で58%(平日14時)を占めるエアコンは、真っ先に“電気代リストラ”の標的になる。しかし、常識のようにいわれている「こまめにエアコンを消す」という対策は、効果が疑わしい。
「エアコンは立ち上げに最も消費電力がかかるので、こまめにオンオフするより、つけっぱなしのほうが節電効果が高い。エアコン大手のダイキン工業の調査では、日中なら30分程度の外出まではつけっぱなしにしたほうが、電気代が安くなるという結果が出ています」(丸山氏。以下、「」内同)
風量を「微風」や「弱風」にすれば、そのぶん電気代が安くなるはず──というのも誤解だという。
「エアコンは部屋を冷やすまでに電力を大きく消費しますが、風量による消費電力量の違いはほぼありません。『微風』や『弱風』でのんびりと部屋を冷やすより、『強風』にして早く設定温度に到達したほうが電気代はトータルで安くなります」