冷気で部屋の温度を下げる冷房よりも、湿度を取り除く“除湿(ドライ)にした方が電気代がかからない”というのも間違いだ。
「最近のドライ機能は『再熱除湿』が主流です。まず部屋の空気を取り込み、冷却して除湿。冷やされた空気を温め直して部屋に戻すことで湿度を下げます。この『再熱』時に多くの電力を消費するため、ドライは通常の冷房より電気代がかかってしまうのです」
エアコンと同時に扇風機を使うと「電気代がかさむ」と気にしてどちらか片方だけを使うようにしている家庭もあるが、丸山氏は「併用」を勧める。
「エアコンが吹き出した冷気は下に溜まるので、扇風機を利用して循環させたほうが効率的に部屋を冷やせるうえ、体感的にも涼しく感じます。エアコンを高めに設定して消費電力を抑え、扇風機を併用した方がお得です」
熱帯夜に重宝するのが就寝から数時間後にエアコンを消すタイマー機能だが、これも逆効果になりやすい。
「タイマーが切れた後に室内の温度が上がり、寝苦しさで目が覚めて1時間おきにスイッチを入れたりしていては電気代がかさむばかりです。それなら就寝時から高めの温度設定で朝まで付けっぱなしにするほうが電力消費は少ない。涼しさを維持するのにはそれほど電力を要しません」
エコと思ってやっていることが、かえって電気を無駄遣いすることもあるのだ。
※週刊ポスト2018年8月3日号