家計を見直すにあたって“大きいところ”から手をつけるのが望ましいとするのは、ファイナンシャルプランナーの森田悦子氏だ。
「生命保険の死亡保障は見直しの対象になります。遺された家族の生活や子供の教育資金に充てるため契約する死亡保障は、貯蓄型の終身保険に掛け捨ての定期保険を上乗せするのが一般的です。すでに子供が独立していれば、保障額が大きく保険料も高い定期保険はもはや必要ありません。終身は残し、保障額2000万円の定期を解約するだけで保険料を月2万円近く浮かせることができます。
大きいところから手をつけると“これだけ節約できた”という達成感が得られる。他に何が節約できるか考える動機づけにもつながっていきます」
前出の家計調査では食糧費に続いて通信費(交通費含む)が約2万7000円と支出の中で2番目に大きなウェイトを占める。都内在住の平野勝利さん(仮名・67)は2年前の定年退職を機に通信費の“断捨離”を行なったという。
「現役時代はスマホに加え、家に固定電話とパソコン用のネット回線を引いていたので通信関連の請求書は3枚だった。リタイアするとそれぞれの使用頻度も減ると考え、家の電話とネット回線を解約しました。残ったスマホも女房と一緒に格安スマホに乗り換えた。
月計2万円近く払っていた通信費は、女房と合わせて約6000円に減りました。スマホ内蔵のテザリング機能(インターネット回線をパソコンにつなげる機能)を使えば、家で変わらずパソコンを使えるし、格安スマホだけになっても生活に何の不便もありません。妻とは“ずいぶんムダをしてたんだね”と笑い合っていて、今度はマイカーを手放してカーシェアリングにしてみようかと話しています」
その「車」も大きな節約が見込める要素だ。森田氏によれば、1500~2000ccクラスの車を持っている世帯は、それを下取りに出して軽自動車に変えるだけで「自動車税や自動車保険料、車検費用など維持にかかる諸経費が月1万円程度安くなる」という。駐車場を借りているなら、さらに出費は抑えられる。
※週刊ポスト2018年8月3日号