能動的に生活を少しずつ変えていくという方策は、「人生100年時代の老後破産リスク」を避けるための有力な選択肢となり得る。自ら考え、変化に刺激を受けながら楽しむ――そんな“65歳からの家計術”とは。
定年後年金生活が始まってみたら受給額が思ったほどなく、月5万円を貯金で切り崩すはめになったという人は少なくないだろう。実際、総務省の家計調査(2017年)によると、主な収入源を年金に頼る高齢夫婦世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の無職世帯)では毎月約5万4000円が赤字になっているのだ。
生命保険の死亡保障や車、通信費などを見直せば5万円を捻出するのはそれほど難しくはない。固定電話をやめ、格安スマホだけにする、といった「断捨離」である。ただし節約だけで月5万円を捻出しようとすると、他にも食費を切り詰めるなど「つらい生活の見直し」が必要になってくる。
そこで「働く」という選択肢を加えることで、「月5万円」の目標は格段にクリアしやすくなるという。ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏が話す。
「人手不足が深刻な外食などサービス産業は今、高齢者の雇用に積極的です。特にファストフードやコンビニ、スーパー業界では70歳を超えた世代の採用が増えている。“キツイ”と敬遠されがちなサービス業ですが、『週1日』や『1日3時間』といった小刻みのシフトが可能な店舗は少なくない。自分のライフスタイルを崩すことなく働けます。1日4時間、週2日働けば、月3万円近く稼げます」