雨の日も風の日も、猛暑でも…会社に向かう夫を励まし、帰宅した夫をねぎらってウン十年。ついにやってくる「定年」の日。夫婦で「その日」を迎えるにあたり、意識改革も必要だ。消費経済ジャーナリストの松崎のり子さんは、退職金について「なかったものとして貯金」を始めることを推奨する。
「定年後の生活で特に大事なのは、“生活のスリム化”です。定年してからはなるべくモノを増やさず、モノを買わない生活を心がけること。また、子供が巣立ったあとは学費や食費など、それまでかかっていた費用をそのまま貯金に回す“なかったものとして貯金”なら、最もストレスを感じずにお金を貯められます」
退職する前にあらかじめ行っておくべき手続きもある。
「退職金を一括で受け取る場合は、事前に『退職所得の受給に関する申告書』を会社に提出します。これを怠ると、20.42%もの金額が源泉徴収されてしまい、取り戻すには翌年に確定申告する必要があって手間がかかります」(ファイナンシャルプランナーの横山光昭さん)
申告書の提出に加えて、定年後速やかに会社から「離職票」をもらっておくことで「失業給付金」の手続きがスムーズになる。
「勤続20年以上で定年退職した場合は、150日分の失業給付金が支給されます。金額は、退職前6か月の賃金を180日で割った額の45~80%が基本手当日額となります。賃金が低いほど率が高くなり、7042円が上限。150日分で105万6300円が最高受給額になります」(横山さん)