今年10月にはリクルートホールディングス、11月にはLINEの新規上場が予定されており、注目度の高まるIPO(新規上場)市場。それら注目の大型案件をどう攻略すべきか、投資情報サイト「東京IPO」編集長の西堀敬氏が解説する。
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今年のIPO件数は70件程度が予想され、今後も大型案件が続出すると思われる。その中でも注目は、LINE、リクルートホールディングス、すかいらーく、エリーパワーという4つの案件だ。
特に市場関係者が熱い視線を向けるのが、10月にも上場予定のリクルートホールディングスだ。時価総額が2兆円規模の上場となりそうな上に、展開するビジネスは比較できる同業他社がないといういわば「初物」となるので、市場の注目度は特段高まっている。
では、これら注目4銘柄に対して、どのような投資戦略を取るべきだろうか。大型案件ですそ野が広くいきわたりそうなので、いずれも公募価格で手に入る可能性も十分あるだろうが、はたして公募価格で買って初値で売る戦略で勝てるだろうか。セカンダリー(上場後の株価上昇を狙う)でのパフォーマンス予想も含めて、銘柄ごとに分析してみよう。
まず、リクルートホールディングスはファンドや外国人および日本の投資家を問わず、買い意欲が非常に旺盛だと思われるので、公募価格に対して初値が高くなる可能性は高いだろう。たとえ、IPO時期に地合いが悪くても初値は崩れにくいと予想されるので、できれば公募価格で取得することが望ましいだろう。
前述した理由から、この銘柄に関しては公募価格で取得できなくても諦めなくていい。上場後にセカンダリー狙いで買っても、株価は1年でプラス5割ぐらいの上昇が見込めるのではないだろうか。
同じく市場の注目度が高いLINEも、「公募価格買いの初値売り」戦略が通用するだろう。ただ、市場全体の売買代金が膨らんでいるような地合いのよい状況であれば、上場後の株価上昇も期待できるので、セカンダリー狙いで勝負するのもいいだろう。
蓄電池が主力のエリーパワーについても地合い次第といえそうだが、大和ハウスが筆頭株主となっているほか、得意先の大企業連合軍が株主に名を連ねているので、上場しても大きく売り込まれる懸念は少なそうだ。下値の堅い展開が予想され、セカンダリー狙いでも安心感があるだろう。
ファミレス国内最大手で、9月末に再上場する見通しのすかいらーくは、株主優待と配当が復活すれば、それを目当てに個人投資家の買いが予想される。だが、その一方で、再上場で利益を狙う米投資会社の傘下にあることから、同投資会社の思惑次第で、セカンダリーの上値が抑えられる可能性があるので注意が必要だろう。
※マネーポスト2014年夏号